認知行動療法でパニック障害を治療する

認知行動療法でパニック障害を治療する

パニック障害は、動悸などを伴うパニック発作を起こし、発作への不安に苦しむ病気です。

発作そのものは命に関わるものではありませんが一度発作を起こすと、「また発作を起こすのでないか」という過度の不安で過呼吸が起こるなど、より発作が誘発されるという悪循環に陥ります。

公共の場面や人ごみなど、発作が起きそうな場面を避ける広場恐怖の症状で、日常生活に支障をきたしている人も少なくありません。

それら発作に対して過度の不安を感じずに済むように、認知を変えるトレーニングをすることでパニック障害克服への一歩となるでしょう。

 

人は誰にでも、考え方(認知)や行動の癖があります。 認知行動療法は、行動と認知(考え)の問題に焦点を当てて問題の解決を目指す治療です。

なぜ辛い状態や問題が起こって、それが長引いてしまっているのだろうかということを、その人の物事のとらえ方(認知)の要因と、実際のふるまい(行動)の要因から分析してみます。

たとえば大切な友人から何日待ってもメールの返事がないとします。 あなたはどのように考えどんな行動をとるでしょうか。

ある人は「忙しいのだろう」と考え、あまり気に留めず待てるかもしれません。

ある人は「嫌われたのでは」と思い、 何度もメールや電話を重ねるかもしれません。

同じ「返事がない」という状況でも、どのように考えどんな行動をとるかは、人によって異なります。

 

認知行動療法では、このように知らず知らずのうちにパターン化しているその人の考え方や行動を整理し、必要に応じて他のパターンを身につけていく心理療法です。 具体的には何か出来事に直面した際の反応を「考え」、「行動」、「身体」、「感情」の4つの側面に整理していきます。

そして「考え」と「行動」の工夫をすることで困りごとの改善やストレス反応の緩和を目指して行きます。 こうした作業を効果的に行うためには、職場や学校、家での生活を全体的に見直していく必要があるため、ある程度時間がかかります。自分の陥っている状態に気がつき、上手な抜け出し方を探して実施するということを、練習によって身に着けていきます。 長年必要で身につけてきた「いつものパターン」から抜け出すのは大変なことです。 しかし、困っているパターンを整理することで自己理解が深まり、最終的には「私は変われるのだ」という実感を通して自分で自己コントロール感を高めることが期待できます。

認知行動療法には治療効果を検証した科学的な研究が数多くあり、さまざまな精神的な病気や問題の解決に対して効果があることが実証されています。そのため認知行動療法の訓練を受けた臨床心理士から心理療法を受けることが出来れば十分な治療効果が期待できます。 効果の実証されている問題は、うつ病や不安障害(パニック障害、社交不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害など)、過食症、不眠症など、多岐にわたります。

パニック障害の症状

パニック発作時は以下のような激しい身体感覚に襲われます。

  1. 心悸亢進や動悸または心拍数が増加する
  2. 呼吸が速くなる、息苦しさを感じる
  3. 息が詰まる
  4. 発汗
  5. 身震いや手足の震え
  6. 胸の痛み又は不快感
  7. 吐き気や腹部の不快感
  8. めまい、不安定感、ふらつき
  9. 非現実感、自分が自分でない感じ
  10. 常軌を逸してしまう、狂ってしまうのではないかと感じる
  11. このまま死ぬのではないかと恐れる
  12. 知覚異常(痺れ、うずき感)
  13. 寒気またはほてり

パニック発作発症は引き金となる刺激を脅威と捉えるために、不安感や身体症状が起きます。それを破局的に解釈し発作という恐怖に対する不安が増長されるという負のスパイラルに陥ります。

パニック障害に対する認知行動療法の進め方

  1. 身体感覚への破局的解釈が発作の原因であり、落ち着いて対処すれば発作を防げることを学ぶ。
  2. 身体感覚が変化した時に行う呼吸法を学ぶ。それにより過呼吸になることを防ぐ。
  3. 思考記録表の記入作業などを通じ、破壊的解釈を修正する。
  4. 身体感覚の変化になれる練習や、発作が起こりそうな場面で落ち着いて過ごす練習をする。
  5. 治療の成果を振り返り今後の生活で再び不安が起こりそうなら対処法を考える。

治療法には

治療開始時の激しい不安症状には薬物療法が、慢性期には認知行動療法が特に有効とされています。そのため、両者を併用して治療を進めるのが一般的です。

パニック障害に対する認知行動療法では身体感覚の変化を発作の前兆と思い込むような、破局的解釈を修正します。

さらに、動悸や過呼吸などの身体感覚に対してはエクスポージャー法によって破局的な解釈が起こるのを防ぎます。

エクスポージャー法は不安階層表を使って、不安の低い行動から段階的に進めます。

呼吸法やエクスポージャー法については別記事でご紹介します。